ミスタービーンの毒舌日記


英文解釈の技術-英会話発信ごっこから脱却してまずは正しいインプットを!

投稿日時:2023/08/07 15:49


英文解釈の技術-英会話発信ごっこから脱却してまずは正しいインプットを!

金沢市英会話エスティームが実践する正しい英文解釈の技術

「英文を正しく解釈する」とはどういうことでしょうか。一昔前と違い現在の受験生は正しい文法力・構文力に基づいた英文理解ができていないことが少なくありません。訳読させると支離滅裂です。速読ばかりが強調され、正確さは後回しにされる風潮が強いです。また学校の英語の授業は、正しく理解する前に「発信ばかり」が強調されています。

この風潮は英検でも例外ではありません。私の生徒さんで二級の一次合格できた子がいます。彼女はリーディングの生徒率が50%以下でした。しかし、リスニングとライティングの点数がかなり良くて(平均90%)、総合点で合格しました。読解力がその程度でライティングでそんなに高得点を取ることは可能なのでしょうか。採点基準がどんぶり勘定と言われても仕方ないでしょう。こういった傾向は誤ったメッセージを受験者(英語学習者)に与えてしまいます。

今回は実際の私の生徒さんの実例から正しく英語を解釈するとはどんなことなのか、を考察していきたいと思います。

生徒さんの英文解釈から見られる数多くの課題

当校での英文解釈のレッスンにおいては、句と節という単位で英文を「意味のまとまり」で捉えることを主眼としています。なるべく→方向で英文を読み、←方向で解釈することを避けるよう指導しています。なぜかと言えば、共通テストのリスニングは問題文を一回づつしか聴けない傾向になっています。←の返り読みは英文理解において致命的な悪い癖となります。実際のレッスンでは画像で示したように、英文を縦に句と節の区切りで区切り、横に対応する訳を書くというスタイルをとっています。

上の画像で示したのが私の生徒さんが行った予習段階での英文解釈です。黄色で示している部分に数多くの課題が露呈されています。まずそれらの課題を具体的に見ていきます。英文は英検二級の過去問です。

その1 固有名詞が認識されていない Happy Birthday は頭文字が大文字になっているのでこれは一般的な誕生日という意味ではありません。→ここではHappy Birthdayの歌のことです。
その2 節という認識が希薄 
who actually owned the copyright は主語 who 動詞 owned ーである節。
「著作権を所有しているのは誰か」という訳は SVが意識されていないことを示唆しています。SVが意識されているなら、who から訳し始めるはずなので。
その3 不定詞の意味上の主語が全く理解されていない
for their students 彼女らの生徒のために→彼女らの生徒が
to sing each morning. 毎朝歌うための
こういった訳は毎日のように授業で見受けられます。不定詞も動名詞も「元々は動詞なので必ず主語がある」ということを力説するのですが、なかなか生徒さん本人が理解して見抜けるようになるまでには相当時間がかかります。中学段階で不定詞の意味上の主語がきちんと教えられていないことが原因にあります。例えば
It is very difficult for me to get up early. 私にとって早起きは大変難しい

「私にとって」という訳を最初にOKしてしまうと、大半は高校生段階で挫折する結果となります。「誰が起きるの?」→私にきまっているのですから
「私が早起きすること」 と最初から教えるべきなのです。
その4 仮主語という意識の希薄さ→どこを指しているのが理解できていない
but it was believed しかしそれは~を信じられていた→ it はthat節を指す仮主語
that the sisters gave the copyright その姉妹が著作権を与えたことを

仮主語を意識していない生徒さんはすぐに it を「それ」と機械的に訳してしまいます。この it was believed は 「~は信じられた」とすべきなのです。

正しい英文解釈例

上の課題をふまえて作った訳を読んでみて下さい。この部分訳をつなぐときちんとした日本語になりますね。大半の受験生は実態というのが最初に訳例に凝縮されています。この短いパラグラフの中で、数多くの本質的課題が見えます。

生徒さんの実際の訳例その2

それではもう一つの訳例を見てみましょう。こちらの方にはより深刻な課題が含まれています。
その1 句と節という一番大事なまとまりが全く見えていない
As the number of cars車の数としては
increases each year, 毎年増えている
この as は前置詞ではありません。number →S increases→Vという節が後にくるのですから節なのです。節と句は一番肝となる意味のまとまりです。英語が苦手な受験生の多くはこの一番大きなかたまりが分かっていないことが多いのです。as には前置詞も接続詞もあるということさえ意識が希薄です。これはかなり深刻ですね。

その2 五文型が全く見えていない
The traditional approach 従来からの研究法は→approach は主語S
has been to try to control 検査しようとしていた →意味不明ですね?
both drivers and nondrivers. 運転手と運転手ではない人の両方とも
正しい解釈は
The traditional approach 従来からの研究法は→approach は主語S
has been to try to control ~を制御しようとすることである
both drivers and nondrivers. 運転手と運転手でない人両方
つまり has been が動詞句 to try .................... nondrivers は補語のかたまりなのです。

その3句と節の意味のまとまりを意識していないので←方向の返り読みを常にしている
Traffic lights, speed limits, and signs信号機、制限速度や標識は
are used to make drivers drive 運転手に運転をさせるために使われる
more carefully, より慎重に
while fences and pedestrian crossings フェンスと横断歩道がある間には
are used to control where people cross the road. 人々が道路を横切るのを防止している。
返り読みはリスニングではできません。当たり前ですね。一回しか聴けないのですから。リーディングは極力→方向で読み進めるべきであり、←はできるだけ避けることが鉄則です。下のように読まなければなりません。
Traffic lights, speed limits, and signs信号機、制限速度や標識は
are used 使われる
to make drivers drive 運転手に運転をさせるために
more carefully, より慎重に
while 一方で
fences and pedestrian crossings フェンスと横断歩道は
are used 使われる
to control where people cross the road. 人が道路を横断する場所を制御するために

英文を正しく解釈するとはどういうことか?

英文を正しく解釈するとはどういうことでしょうか。それは英文構造を正しく捉えて、何となく?を排除して読む進めることに他なりません。SVは何か?不定詞の意味上の主語は? 仮主語の it はどこを指すのか? 品詞は何か? ここで全てを語ることはできません。一つ言えることは、一文一文を正しく分析できなければ、全体も正確に理解できないということです。何となく、のレベルでは学力はそのうち頭打ちになります。

こういった部分においては、一昔前の英語教育の方が遥かにマシでした。今の英語教育はインプット段階における正確な解釈を無視して、意味の無いアウトプットばかり強調しています。相手の言っていることを正しく理解しないで、どうやってまともなコミュニケーションが成立するのでようか。アウトプットを強調すべきなのは、インプット段階での英文理解が成立していることが前提です。こんな当たり前のことが現在の英語教育界では無視されているのはお寒い現状です。最初の画像に示した訳の理解度で英語を絶対に使えるようにはならないことは自明です。

英会話エスティームの受験指導は、そういった曖昧さを排除し、理解することに対して決して妥協することはありません。英検に合格するだけなら(特に二級程度までなら)「何となくこういうこと言っているのかな?」程度の理解でも可能でしょう。しかし、それは有名私立や一流国公立大学受験では全く通用しません。又将来、英語を使って仕事ができるようには到底なりません。いい加減な「発信力重視」の英会話ごっこは受験生には全く必要ありません。そういった甘えから脱却しないと手遅れになります。リスニングもいい加減な読解力のままでは絶対に点が取れるようにはなりません。

将来「英会話」ができるようになりたい、英語を使って仕事をしたいなら今は正確な読解力形成を第一に目指して下さい。将来英語を話したい、という状況できっと役に立ちます。逆にいい加減な受験勉強を今していたら、英語を使える段階に持っていくために、大人になってから文法を一からやり直すことになってしまいます。

極論すると「英会話できる、できない」は一人一人の趣味の問題でしかありません。日本人全員が英語を話せるようになる必要なんて全くありません。だからといって英語が必要ないと言っているのではありません。英語を使う場面は話すにとどまらずメールを書いたり、契約書を読んだり、海外から商品を取り寄せたり、論文を読んだり書いたり、と多岐にわたります。英語を話すことだけに焦点を当てるのは英語教育の意義を矮小化しているに過ぎません。

受験対策の英語は将来のための土台作りで良いのです。その土台があれば英語は話せるようになるのです。そもそもろくに英語を話せない英語教員がまだ少なくない現状で、発信力を求めるのは不可能。私と同じ世代で一昔前の英語教育で育った世代の方を何人も教えてきましたが、みんな英語が話せるようになっています。なぜならレッスンで英文法を一から教える必要がないからアウトプット練習に時間をさけるからです。

いい加減な小手先のテクニックは捨てましょう。私は当たり前のことを正攻法で指導することで結果を出してきました。私の指導方針が少し理解して頂けたでしょうか。共感される方是非私にご相談下さい。


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